オーストラリア最大の都市, 世界一住みやすい都市 メルボルン

オーストラリア最大の都市はシドニーでは? と思った方も多いと思います。「最大」の定義がはっきりしませんが, 人口はどうかというと, 実はメルボルンがシドニーを抜いてオーストラリアで一番人口が多い都市になりつつあります。

正確な統計としてはAustralian Bureau of Statistics(オーストラリア統計局)が2026年3月31日に発表した数字が現在最も新しく, これによると2025年6月30日の時点で, シドニーの人口は5,638,830人。これに対しメルボルンは5,435,590人とわずかに少ない。しかし人口の増加率はメルボルンが上で, 近い将来確実にメルボルンが人口でトップに躍り出ると言われています。そして, 各都市をどの範囲として定義するかによっては, すでにメルボルンがシドニーを抜いているという数字もあります。

オーストラリアは移民国家ですので, 人口増加の主要因は移民や他州からの移住と言っていいでしょう。ではなぜメルボルンなのかというと, ひとつには「住みやすい」ということではないでしょうか? イギリス・エコノミスト誌の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」が発表した世界で最も住みやすい都市ランキング2016で、メルボルンは6年連続で1位に輝きました。その他Forbes誌などが発表する「世界一住みやすい都市」といったランキングでもメルボルンは常にトップランクにあります。ちなみにシドニーだって住みやすいのですが, いろいろな評価基準を総合すると, 常にメルボルンが上にランクされているようです。また, 最近(2026年6月初旬)ニュースで報じられていましたが, 家の値段の中央値を比べると, メルボルンはブリスベン, シドニー, アデレード, パースより安くなっています。流動的な数字であり, 単純比較はできませんが, 大都市であるのに家の値段が低く抑えられていることは確かで, 住む場所を決めるときに大変重要になるでしょう。

日本人の人口

人口の話が出たついでに, 日本人(在留邦人)がどのぐらいメルボルンにいるのか調べてみました。Google Geminiが日本の外務省やオーストラリア統計局のデータを基にまとめてくれたところによれば, ビクトリア州に2万3000人。大部分がメルボルンに住んでいますから, メルボルンに約2万人いると思えばいいでしょう。これに対しシドニーは約3万人と言われ, 日本人の人口という意味ではメルボルンはオーストラリアで2番目ということになり, 逆転が起きるかどうか定かではありません。

移民の構成

メルボルンは他の都市と比べると, ヨーロッパ系移民が多いことで知られています。どの州もイングランド, スコットランドなどイギリス系が最も多いのですが, メルボルンでは特にギリシャ, そして何と言ってもイタリアからの移民が際立っています。メルボルンのギリシャ人の人口は約17万人で, ギリシャ国外で最も多く, ギリシャ国内を入れても, アテネ, テッサロニキについで3番目にギリシャ人が多い都市と言われています。イタリア人はさらに多く, 現在約18万5千人がイタリア生まれ。エスニックコミュティティーとしてはメルボルンの人口の30%が「イタリア系」と言われています。

スポーツ・アート・文化の街

メルボルンは文化・伝統と現代的なトレンドが絶妙にマッチした街です。ロンドンを思わせるクラッシクなビルやゴシック様式の教会の尖塔に, 超高層ビルが同居する中心街(City)。街のシンボルは「フリンダース・ストリート駅」世界遺産の「ロイヤル・エキシビション・ビルディング」優美なバレリーナのスカートをモチーフにしたArts Centre Melbourneのタワーなど。

フリンダース・ストリート駅の向かいには不規則な形をしたビル群で独特の雰囲気を持つフェデレーション・スクエアがあり, 映画館, 小ホール, ACMI (Australian Centre for the Moving Image)という動画専門の展示館があります。

その眼の前のPrinces Bridgeを渡ってヤラ川の南岸に出ると, 優美なバレリーナのスカートをモチーフにしたタワーが目につきます。Arts Centre Melbourneのあたりは近年Arts Precinctと呼ばれるようになりました, Arts Centre Melbourneの中には, コンサートホールのHamer Hall, 劇場のThe State Theatreなどがあり, Opera Australia, The Australian Ballet, The Melbourne Theatre Company, The Production Company, Victoria Opera, Bell Shakespeare, Bangarra Dance Theatre, Melbourne Symphony Orchestraなどの活動拠点となっています。隣接してNGV (National Gallery of Victoria), また近辺にMelbourne Recital Centreもあります。前述のACMIはこのPrecinctの一部であり, NGVと対を成す美術館と位置づけられています。

食文化も多種多様なエスニック料理が居並び, お約束の中華街もあります。イタリア系移民がもたらしたコーヒー文化も奥深く, 「イタリア人もびっくり」するほど洗練されています。日本人のカリスマバリスタもいたりします。

Cityの東にあるスポーツ施設エリアにはロッドレイバーアリーナをセンターコートに持つ有名なテニスセンターがあり, 毎年1月に全豪オープンテニスが開催されます。そこからスポーツ施設が連なっており, 線路を挟んでテニスセンターの北隣には, 1956年のメルボルンオリンピックで開会式の会場となったMCG(Melbourne Cricket Ground)があります。10万人収容の巨大楕円スタジアムはクリケットとオーストラリアン・フットボールの聖地です。

Cityを南に3kmほど下ると, メルボルンオリンピックのボート競技のために作られた人工湖, Albert Park Lakeがあります。普段この周りは市民の憩いの場でサイクリング, ランニング, 散歩, バーベキューなどが楽しめます。また湖東岸はAlbert Park Golf Course。 18ホールの本格的パブリックゴルフコースです。メルボルン三田会 vs メルボルン稲門会の早慶対抗ゴルフもしばしばこのゴルフ場で行われています。毎年3月にはこの湖の外周路がサーキットとなり, ゴルフ場は閉鎖されて観客席が作られて, F1グランプリが開催されます。

メルボルンの街並

メルボルンは, ポートフィリップ湾という湾の北の端に位置します。北の端にヤラ川の河口があり, そこから遡ると, ヤラ川は東に向かってゆっくりと湾曲しています。河口から8kmほど遡ったところの北岸に高層ビルが密集するメルボルンの中心街ができています。ほぼ東西南北に直行した道路がグリッド状に貫く長方形の街で, ここをCBD(Central Business District)とかCityと呼びます。Cityを中心に衛星のように街ができており, これをサバーブ(Suburb)と呼びます。ちなみにCityのサバーブ名はMelbourneです。日本人が思い描く「メルボルン」あるいは「メルボルンの人口は?」という問いの対象となる「メルボルン」はこれらサバーブの集まりの総称です。メルボルンの住人の住所を聞いたとき, 本当にCityに住んでいるのでないかぎり, Melbourneということばは住所のどこにもでてきません。たとえば, 有名なRoyal Melbourne Golf Clubは「メルボルン」の中にありますが, その住所は, 「88 Cheltenham Rd, Black Rock VIC 3193」です。Black Rockというサバーブにあるわけです。

トラムが走る街

メルボルンはトラムが走っていることで有名です。世界でもトップクラスのトラムが普及した街です。トラム路線は全部で24。総延長250km, 停留所は約1,700あります。折り返し点以外はすべて複線になっています。

電車のネットワークもあり, トラムよりはるかに広い地域をカバーし, 乗客数もトラムより多いです。しかし東京の山手線のような環状線は長方形のCityの縁をめぐるCity Loopのみであり, この中には5つの駅があるのみで, 山手線のようにひたすら回っている電車は存在しません。この各駅から放射状に路線が伸びていますが, これ以外の環状線がないので, 遠くにいくほど電車の駅はまばらになっていきます。この間をバス路線(一部トラム)がカバーしています。

これら電車, トラム, バスは共通のMykiというカード(またはスマホのアプリ)を使って利用します。